進化する組織を目指して【アスクラボメールマガジン2022年6月号】

自然の摂理として、能力は使えば進化し、使わなければ退化します。
このテーマはこれまでにもメールマガジンで度々とりあげていますが、
私にとって、また企業にとって重要なテーマであると思います。

以前、ある優良企業の経営者の方とお話しをしていた際、「うちの社員は依頼した
こと・指示したことはまじめに実行してくれるが、新しい発想や創意工夫は苦手
なのでどうしたらよいか?」と問われたことがあります。
その会社の風土として、指示に実直に従うように社員教育がなされており、
その結果で業績を上げてきたという歴史もありました。
しかし、「指示に実直に従う」という風土は、社員の新しい発想や
創意工夫が必要とされない環境であり、
「必要とされない=その能力を使う機会が少なかった」と考えられます。
最初から苦手だったわけではなく、潜在能力がありながら必要と
されず、使わなかった結果として、苦手になった(ある意味で退化した)
のだと思います。

変化のスピードが速いビジネス市場において、進化しないことは退化につながり
ます。企業経営にとって業績は一番重要ですが、目先の業績に集中しすぎると、
すぐに結果がでない新しいことに挑戦するより、今ある知識・ビジネスモデルで
業績を上げることに注力するため、スタッフ自身の進化やイノベーションが
見込めなくなります。その状態が長期間続くと、結果として組織全体の進化や
イノベーションにもつながらず、企業としての「退化」につながるのだと思います。

さて、弊社は市場の変化に対応し、常に進化する組織・チームを目指して
いますが、そのためには各自が業務で感じる感覚や所感を表現できる場面が
必要です。
弊社スタッフが「アスクラボのスタッフは決して一枚岩ではない」と言ったことが
あります。私は一枚岩の組織を目指しているわけではありません。
方向性が合っていれば、むしろ考え方が違わなければ、イノベーションは
不可能だと思っています。
また別のスタッフは「リーダが明確に方向性を出してくれない」と不満を
漏らしたこともあります。これも、リーダが方向性を明確に出せなくても、
配下のスタッフが意見を言える風土を作り、その意見の中から方向性の
よい意見を採用すれば、それもリーダの役目だと思っています。
余談ですが、幕末の頃の塾は優れた人材を輩出していますが、
塾生を教える先生の役は、その教える内容ごとに、塾長・塾生問わず
一番詳しい人・得意な人が務めたと聞いたことがあります。

議論をすると、意見の違い・考え方の違いが発生しますが、知恵・知識を
持った人材の意見や考え方が違うのは当然であり、それを同じ考えに
まとめようとするのは困難です。
重要な方向性(例えば、業績を上げる、組織全体で進化が必要、お客様からの
信頼を得る、情報共有の重要性など)が同じであれば、意見の違いは
進化の証であると思います。
その意見の違いをどのように活用するのかがマネジメントだと思います。

■ユーザエネルギーとAIリスク診断(※)
弊社では、スタッフの行動(日報)から方向性を評価し、相違や隔たり、
それらの前兆をユーザエネルギーとAIリスク診断で数値化しています。
人間の感覚や感情でつかんだ内容で議論をすると評価に違いが発生
しますが、数値化することで客観化した内容の評価は概ね合致します。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙