運のよい生き方 【アスクラボメールマガジン】
いろいろな業界で成功している人の話を聞いていると、ある種の共通点があるように思います。例えば、ターニングポイントとなった人物との出会い、ステップアップの契機となったビジネスチャンスなど、それらが自ら意図したのではなく偶然の出来事として生じているという共通点です。いわゆる「運」と言われるものが存在しているのだと私は感じます。
私は23歳の時、ひどい腹痛に襲われ、いろいろな検査をしても原因がわからず入院したことがあります。ある日、いつもの担当医師ではなく、大学から派遣された初めて会う医師に診察してもらいました。いろいろと問診をして私のお腹をさわり一通りの診察を終えた医師の表情は、何か腑に落ちないというか、納得できる答えを見つけていないといった印象でした。その医師が病室の出入口で足を止めると、考えをまとめるかのように頭を撫でながら再度私の元へやって来て「このままでもう一度レントゲンを撮ってみましょう」と言ったのです。そのレントゲン撮影の結果、原因がやっとつかめました。腹痛の本来の原因はなんと盲腸だったのですが、私の盲腸が通常の位置になかったため原因として特定できず、盲腸が腸に癒着して腸閉塞まで起こしていることが判明し、即、緊急手術となりました。後で聞いたことですが、手術が2~3時間遅れていたら命にかかわる事態になっていたそうです。もし、その日の担当が大学から派遣された医師ではなかったら?その医師が部屋の入り口で立ち止まらなかったら?翌日ではなく、すぐにレントゲンを撮っていなかったら?そのときのことを振り返ると、私には運があったと感じています。
さて、私が師と仰ぐ地元のご住職に「感情が入って判断したことは誤りが多く、感情が排除された無意識に近い状態で行った判断は間違いが少ない」と教えていただきました。この内容は以前にもメールマガジン(2010/8/2)でご紹介しましたが、ご住職の教えには続きがあります。感情を排除した無意識(いわば深層心理)に近い状態で考えて判断したことは間違いが少なく、その結果、運のよい生き方ができると教えられたのです。このご住職の教えに通じると感じたのは、以前、あるビジネス雑誌で目にした「あなたは笑って反論できますか?」という言葉でした。記事のタイトルか広告のキャッチコピーかは既に忘れてしまいましたが、この言葉だけは印象深く残っています。ビジネス、プライベートを問わず、反論する際に感情が入ると、険しい顔つきや難しい顔つき、あるいはこわばった顔つきになります。しかし、感情を排除して笑って反論ができれば、相手に不快感や対立する感情を与えないのではないでしょうか。
自身の体験、ご住職の教え、ビジネス誌で目にした言葉。私はこれらすべてに共通して「運」というものを感じました。そして、「運のよい生き方」というものを非常に意識するようにもなりました。
自分の部下から反論や批評、自分とは違う意見があげられた場合でも、一人になってそれらを思い返してみると、自分自身で気付いていなかったことに気付かされることも多くあります。その結果、気付くことができて助けられたり、別のアイデアを思いつくきっかけになったりと、プラスに作用したことは多々あります。これらの経験から、反論や批評も感情的になることなく受け止め、心にとどめておくことが多少できるようになったと思っています。
冒頭でご紹介したように、成功した方には「運」という共通点が存在していると思います。つまり、運のよい生き方をすれば成功の可能性は高くなるのだと思います。ビジネスで成功するために、少しでも運のよい生き方ができればと思っています。
アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙