中身のあるコミュニケーションとは【アスクラボメールマガジン2017年3月6日号】
弊社が行う「トップアプローチ研修」では、経営陣あるいはキーマンへの面会について演習を行いますが、「面会でどのような情報を得るか?」ということを受講者に聞いてみると、多くの場合「悩みを聞く」、「課題を聞く」といった答えが返ってきます。しかし、「ではどのように?」とたずねると具体性がなくなり、「悩みや課題が聞けるような話しができれば・・・」といった期待や希望に留まってしまいます。
現実のケースでは、こちらの思い通りに相手が悩みや課題を話してくれるというわけではありません。ではどうして話してくれないのでしょうか?
人は「悩みを話してもよい相手かどうか」という確認もしないで、自分の悩みを一方的に話すことはまずありません。会社に置き換えても同じで、会社の課題を誰かれ構わず安易に話すこともまずありません。
私は、「悩みを話してもよい相手」になるためには、次の4つのハードルをクリアする必要があると思っています。
1.感じがよい
服装、身だしなみ、雰囲気、歩き方、座り方、話し方など、主に外面的な要素の印象で、「感じがよい」と思われるかどうか。
2.信頼できる
同業者、他社、自社の情報等々、話しの内容の真実味(本当のことを話してくれている)=「信頼できる」と思われるかどうか。
3.意図が通じる
話しを聞いているときの態度、相槌、話しの内容に関する質問等で、「意図が通じる」と思われるかどうか。
4.空気が読める
非言語メッセージ(言葉以外の表現や態度、ボディランゲージ等)に気付き・理解し、その場の「空気が読める」かどうか。
※初対面の人や普段あまり接触のない人は、なかなか本音を言ってくれません。
「その内容は分かっているから結論を言ってほしい」、「今はこちら側に話しをさせてほしい」等々、相手が切り出しにくい状況(本音)を、相手の表情や目配せ、態度などから判断する必要があります。これができなければ「空気が読めない相手」と見なされてしまいます。
クリアすべきハードルと重々しく挙げてみましたが、それは何かしら特別なことではなく、誰もが人間関係を構築していく上では日常的に経験していることなのです。
例えば、プライベートを想定して考えてみてください。
あなたはあなたの身の回りにいる人達に、同じ話を同じようにはしないはずです。話す内容や話し方は、相手との関係性や距離感によって個々に違っているのではないでしょうか?それは、それぞれの相手との付き合いの中で、先に挙げた4つのハードルを無意識に当てはめた結果であると思います。その経験をビジネスに流用すればよいのです。
商談を有利に導くためには、商談の相手から、他社が入手できないような情報をより多く得る必要があります。私がビジネスの社会に入りたてのころ、先輩の経営者の方から「話し上手より聞き上手になれ」とよく教えられました。
中身のあるコミュニケーションとは、こちらがどれだけ話したかではなく相手がどれだけ話しをしてくれるかなのです。
■PROナビ(自社開発の組織営業力強化システム)
営業資料や営業情報の共有だけでなく、中身のあるコミュニケーションのための経験やスキルも、「情報」として社内で共有することができるのもPROナビ運用の目的の一つです。
アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙