支援のマネジメント【アスクラボメールマガジン2017年10月】

現在の急速な技術革新は、商品のライフサイクルを短命にしました。それにともない市場ニーズの変化はスピードアップし、ビジネス環境にも大きな影響を及ぼしています。従来のピラミッド型組織による管理指示のマネジメントでは、現在の市場・ビジネス環境に追従していくことは困難です。市場に一定のシェアを持った大企業であれば、企業としての体力・資金力・人材が豊富なため、変化に対して時間的猶予がありますが、中堅・中小企業には大企業と同じような時間的猶予はありません。

技術革新が今ほどではなく商品サイクルが比較的長かった時代は、組織の上層部が過去の売上数字をベースにした通達を出し、中間管理者層がそれを管理するマネジメントや仕組みで経営が可能でした。しかし、弊社のような地方の小規模かつ後発のベンダーが同じようなマネジメントや管理をしていては、間違いなく市場から退場を求められます。そのため弊社では、上から下への管理・指示ではなく、経営陣は管理職の仕事がしやすいように支援する、管理職は現場スタッフの仕事がしやすいように支援するという視点的には逆ピラミッド型の仕組みをシステムとして検討し、PROナビ(組織営業力強化システム)を開発・導入したのです。

「支援」するための絶対条件は、経営陣や管理職が「現場」を知ることです。「現場」を知らない上司の存在ほど現場スタッフが不幸になることはありません。PROナビには日々の活動を日報として登録しますが、そのメインテーマは報告義務ではなく、現場スタッフが上司に対して現場の出来事を知らしめるためのものです。
極端な表現をすれば、上司や管理職に対して「あなた方、現場で何が起きているかご存知ですか?」というようなスタンスでよいのです。管理職は、現場の事実をふまえた上で「何がどう困っているのか、どのような課題を抱えているのか、どのような対応をするのか」を経営陣に対して知らしめます。そして経営陣は、それらを頭に入れた上で、経営の重要な資料としてマネジメントの方向を検討していくのです。

企業の業績を向上させるために一番重要な要素は、スタッフのやる気を発揮させることだと思います。上司が管理を強めれば強めるほど、会議などの場で出来ていないことを指摘すればするほど、コストをかけて現場スタッフのやる気を落としていることに他ならず、非合理的なことであると思っています。他人に管理されたい人間などほとんどいないのです。
現場スタッフが上司・管理職に状況を知らしめた結果、管理や指摘ではなく「支援」という形でフォローしてやる気を発揮させる方がより合理的であると思います。

スピードアップした市場ニーズの変化に中堅・中小企業が対応するためには、「管理・指摘のマネジメント」から「支援のマネジメント」への変換が必要であると思います。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙