基礎知識とテクノロジー【アスクラボメールマガジン2021年5月号】

今から十数年前、市場の変化に対応するため、知恵やアイデアを生かして存続するという方針を決めましたが、そのためには仕事のON・OFFの切り分けが必要であると考え、「定時勤務で業績を向上する」という目標を定めました。勤務時間が長くなっている原因を調査したところ、業務とは関係のない部分に時間をとられていることがわかりました。現場スタッフが想定・計算できる受注・売上予算額と、会社が必要とする受注・売上額にギャップがあるため、毎月の予算進捗会議で報告するための辻褄合わせの資料・報告書作りに無駄な時間を費やしていたのです。
また、知恵やアイデアを活かすためには、会社にとって良い話・悪い話を含めたスタッフの行動やお客様の情報(市場の情報)が必要となりますが、辻褄合わせの予算進捗報告をしているため、都合の悪い情報は報告しにくい状況になっていました。その結果、成功体験や失敗体験などを経て得られる「知恵」が蓄積されず、社内で活用することが困難になることがつかめました。これらの課題を解決するために、次のような改善に取り組みました。

  1. 現場スタッフが作成する予算数字が現状の弊社の実力と決めて、会社から数字の上乗せを行わない。
  2. 行動目標・計画を作成、会社・個人の進化を確認する。業務知識の習得、自身のスキル向上、新規収入源への行動、アイデアの創出、コミュニケーション力の向上、約束を守り信頼を得る行動等。
  3. 「知恵」を蓄積するために、日常の行動・情報をPROナビ(自社開発の組織営業力強化システム)に入力する。※
  4. ビジネスの基礎知識を習得する。

説得力のある提案・プレゼンのためにはビジネスにおける基礎知識と市場が求めるテクノロジーの両輪が必要であると思っています。しかし、数字中心の管理・評価では基礎知識の習得が評価されないため、おろそかになると思われます。ビジネスにおける基礎知識とは、企業運営のためのマネジメントに不可欠である財務と業務知識等ですが、数年前、日経新聞で「顧客の怒り爆発寸前」という記事を目にしました。
顧客の怒りの理由として、
1)昔よりSEのレベルが落ちた
2)高価格
3)現状に合わない提案
という3つが挙げられていましたが、これは、ビジネスの基礎知識・業務知識が不足した状況でテクノロジーのみの提案が行われた結果であると思います。お客様の評価は最大の営業力であり、このような状況が続けば、将来大きなしっぺ返しに合うのではないかと危惧しています。
ビジネスにおける基礎知識と市場が求めるテクノロジーの両輪を磨くためにも、実績数字の進捗のみでなく、行動目標・計画による会社の進化を注視しています。会社・個人の進化が将来の収益であり、BSやPLに記載されない利益であると思います。

PROナビ
弊社開発のPROナビ(組織営業力強化システム)は、業務の管理が目的ではなく、お互いの情報を集めて、お互いの長所を伸ばし、お互いの弱点を少しでも克服するための人材育成を目的にしています。