貸借対照表と損益計算書〜長期間のデータと短期間のデータ〜【アスクラボメールマガジン2022年11月号】
企業経営と財務データ
銀行など金融関係者も企業の信用判定では損益計算書(P/L)より貸借対照表(B/S)を重要視する傾向にあります。損益計算書(P/L)は単年度の損益を示すものですが貸借対照表(B/S)は企業経営の累積データです。資金をどのように調達し、その調達した資金や利益の蓄積で生じた資金をどんな資産で保有しているかを示しています。また、その保有している資産が現時点で本当に価値があるか、価値が下落したり、逆に上昇していないか、すぐに現金化できるか等は企業の運営や収益に大きく影響します。
企業経営と情報
企業が将来に渡り成長し、存続するためには、少しでも先に市場の変化を掴み、対応していくことが必須です。その為には目先の数字管理のみでなく、商材・サービスや管理方法に常にイノベーションが求められます。状況変化に対応していくには販売のターゲットとなる市場の情報と、アプローチする側の内部の情報である自社の営業・技術・管理スタッフの現場状況やモチベーション等、外部と内部の両方の情報が必要です。 以下は私見ですが会議での情報のやり取りはP/Lのように一時的な情報であり、各担当者の商談情報や業務報告を蓄積したデータ(弊社では自社開発のPROナビ※という組織営業支援ツールに各担当者からの現場情報を集約・蓄積しています。)をB/S的な情報として認識しています。以前、弊社でPROナビを使って情報共有が出来ていなかった頃は発言力のある(口がうまい)人・要領の良い人・数字の良い人が会社に貢献している人物のように感じていました。しかし、PROナビを利用し始め、蓄積された情報を見てみると、当時会社にあまり貢献していないと思っていた人がトラブル・クレームを数多く対応していたり、逆に積極的に発言していると思っていた人が日常では他人に仕事を任せっきりにしている等、蓄積された情報を見ることで違う側面が見えてきました。
累積データから現場の情報を読み取るのは管理者がチームスタッフを見る場合だけではありません。チームスタッフの側からも累積された情報から管理者の態度や指示を判断しています。以前、恩師であるご住職からリーダーが人を導く・動かすための信頼を得るために必要なのは「思うこと・言うこと・行動することが一致していること」と教えられました。現在、弊社にて管理者とチームスタッフが双方向でデータを蓄積し、時系列で見ていくことで適材適所での業務・役割分担が可能になり、業績も向上してきています。
企業の情報共有のために必要なこと
1.平等であること
管理者はチームスタッフを確認し、チームスタッフからも管理者を確認できる
2.管理者はチームスタッフのせいにしない
ビジネスにおいての障害や失敗、見込み違いをチームスタッフのせいだと思わず自分自身の「思い込み」だったと自省する
今後企業が存続していくためには、自分で収入を上げるスキルが無く権限で管理中心の仕事をしている管理職は「冬の時代」となる可能性が高いと思っています。
アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙