後発メーカの戦い【アスクラボメールマガジン】

弊社は、岡山県北部の地方都市である津山市で、地元ユーザからのオーダーによるシステム構築・サポートで事業を営んでまいりました。
しかし、その営業スタイルのままでは企業として生き延びることは不可能と考え、「SIを中心としたビジネスからPKGメーカへ」、また「地方都市での営業活動から全国へ」を目標に、今から十数年前に「PROナビ」という組織連携営業力強化システムを開発しました。そして8年前、全国ベースでのビジネスを展開すべく東京支店を開設し、新規開拓営業を行い今日に至っています。

「SIビジネスからPKGメーカへ・地方から全国へ」と目標を定めPROナビの開発に取り組んだ際、弊社が持っているノウハウ・経験は何かということを改めて考えました。
弊社が津山でSIビジネスをはじめた当時、守ってくれる親会社もなくユーザ数はゼロの状態でしたので、選択の余地なく新規開拓営業を行わなければならない状態でした。その結果として、新規開拓営業を長年行ったノウハウ・経験が蓄積され、それがベースとなりPROナビの開発に活かされています。

PROナビを開発したものの弊社は後発のPKGメーカであり、当然のことながら市場には外資系をはじめ先行しているメーカが多数存在していました。
加えて先行するメーカは、企業規模も弊社に比較すると大変大きく、そのような環境の中で「どのような商品を開発すれば戦えるのか?」ということについて非常に悩みました。

そこで、後発メーカであることの不利な点、先行する大手企業にはない有利な点を、フラットな視点で洗い出してみました。

■不利な点

・後発である
・知名度がない
・企業規模が小さいため開発人数が少ない
・宣伝広告に多くの費用がかけられない

■有利な点

・業務知識がある
(新規開拓を経験し、営業の本質をほとんどのスタッフが理解している)
・勤務年数20~30年の人材の存在(先行メーカの人材は勤務年数が短いが、勤務年数の長い人材がいるため、その人に備わった業務知識が財産としてある)
・スタッフの大半が30代で持ち家を所有している(地方都市のメリット。人生の最終目標が自宅を持つということではなく生活感に精神的ゆとりがある)
・地方独特の「人の良さ」がある(困っていたら助けてあげようといった面)

上記をもとに、弊社が考えた商品作り・販売の戦略は以下の通りです。

1.ブームは追わない・本質を追求する。

 ブームを追いかけた商品を作ると、後発で知名度がなく開発人員や宣伝広告の面で不利な弊社は先行メーカには太刀打ちできません。弊社では、管理するのではなく現場の活動を支援する仕組みといった、営業支援・組織連携の本質を追及した商品作りを行います。

2.少ない機能で必要な情報を得るために、「難しい」ことを「簡単に」する仕組みづくり。

 多くの機能を開発する場合、圧倒的に開発人員の多い先行メーカが有利です。
 そのため弊社では、少ない人材で効率よく開発を行うため、少ない機能で必要な情報を得る仕組み、「難しい」ことを「簡単に」する仕組みを開発します。

3.日常の営業活動で失敗や成功を経験し、感動や虚しさを体感しているスタッフが販売する。

 作られたものを売るのではなく、小さな企業だからこそ実際に自分達が経験したことが反映された商品、実際に自分達が作ったものをスタッフが自ら販売するため、商談において経験に裏付けされた説得力があります。

4.地方独特の「人の良さ」や精神的ゆとりを活かした組織連携。

 人が困っていたら手伝うといった人の良さ、自分のことだけでなく他人にも目を向けるという精神的ゆとりが、営業、技術、管理スタッフ等の組織連携につながります。

「SIを中心としたビジネスからPKGメーカへ」、また「地方都市での営業活動から全国へ」と掲げた取り組みも、前期までは損益に合っていない状況でした。
しかし、今期やっとスタッフの努力が実り成果が見られる状況になりつつあります。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙