数字管理のみでは営業力は上がらない【アスクラボメールマガジン】

ほとんどの企業において数字の管理は行われていますが、数字は絶対的なものではなく、数字管理のみでは見えないものがたくさんあります。

例えば、私自身、自動車ディーラーの経営者の子供として、幼いころから会社というものに興味をもって見てきましたが、新車の販売においてはほとんどの場合に下取りが発生します。仮に200万円の新車を販売する場合、顧客が今乗っている車を50万円で下取りしたとします。下取りしたその車は、中古車として展示場に並べますが、在庫金額は50万円です。即販売できれば問題ないのですが、仮に1年間販売できなかった場合、1年後の在庫金額は必ずしも50万円とは限りません。
車は年式により一部の希少価値のある車以外は価値が下がります。本当の利益を見る為には、時間・年月の経過とともに在庫金額を下げなければいけないのですが、在庫金額を下げると見た目の利益は少なくなるので、販売担当の管理職者は、自分が在任中は下げることを避けようとします。

また、IT業界の大手企業へ営業改革のコンサルティングのため、その企業の支社・支店へヒアリングに行った際、相手企業の担当者の方が、売上実績表を持参され、説明を受けました。その売上実績表はSI、サポート、ネットワークなどにきれいに分類されて作成されていました。「これは実態をあらわしていますか?」と質問すると、「間違いなく事実です。」と担当者は答えます。ヒアリングの途中休憩で喫煙室に行ったおり、おそらく家電メーカと取引があるのでしょうが、冷蔵庫やテレビを何台販売しようというような文章が壁に貼られていたのを見たので、「冷蔵庫やテレビの販売は実績表のどこに分類されているのですか?」と聞くと、「実はネットワークの分類に入っています。」と答えました。おそらく分類ごとの達成率を会議で叱咤されるのでしょう。

別な例をあげてみます。電気メーカでは決算の前になると、担当者が販売店をまわり「予算があといくら足らないので発注してください!」とお願いをしています。
また極端な例では、とりあえず注文をもらって、決算を過ぎた後にキャンセルをするというようなことも目にしました。

これらの例は「数字管理のみでは見えないもの」としての一部ですが、このような事例をいたるところで目にしています。企業の上層部が、数字、数字で現場を叱咤すれば、販売担当者は自分の保身もあり、前述のような対応策を立ててきます。このようなことを繰り返していれば、営業力が上がることはないし、現場のモチベーションは下がる一方です。

■会社の発展・存続の為には

会社として、利益を上げるための予算を継続的に達成する為には、既存のユーザへの営業活動のみでなく、ユーザ自身が気付いていない課題を見つけて提案を行うことや、新規ユーザを獲得する為の営業活動が会社として必須となります。このような営業活動は、実績として数字が上がるまでには時間がかかり、高付加価値な商品の提案ともなれば組織連携も必要になり、それなりの営業スキルが必要とされますが、会社の発展・存続の為には必ずしなければならない営業活動です。

これらを継続的・日常的に行う為には、すぐに数字にはならない営業活動や行動を「見える化」し、それを上層部が理解し、それを会社として評価できる仕組みを構築しなければなりません。なぜなら、評価されないことに誰も工数を費やさないからです。現場を管理し、会議で叱咤激励するための営業支援システムでは、現場で継続的に使わないのは当然です。これは、SFAを導入したが稼動していないという場合の最多の理由だと思います。

営業強化システム「PROナビ」は、現場への恩恵を優先的に考え、数字のみでなくマネジメントや組織連携、将来の為の行動の「見える化」を目指した全社的営業強化システムです。言いかえると「本当に努力している人が損をしないシステム」と言えるかもしれません。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙