既成概念・固定観念【アスクラボメールマガジン】
弊社は企業の営業力アップのために様々なお手伝いをしていますが、組織営業力強化のための「研修」もサービスメニューの一つとして提供しています。
組織営業力強化をめざす研修の中でも、経営者層へアプローチを行うために不可欠となる「財務」を取り入れた『トップアプローチ研修』では、経営者層の抱える課題を知り、コミュニケーションをとるために、単にBS、PLの数字合わせといった財務研修ではなく、経営やマネジメントに財務がどのように必要で、財務データをどのように活かすのかという内容で講義・演習を行っています。
この研修には、営業担当者だけでなく管理者の方や技術を担当されている方々も参加されますが、実際に研修を行ってみると面白い傾向があることに気付きました。
それは、営業経験が長い営業担当の方より、むしろ営業経験の浅い営業担当者、あるいは営業経験の少ない技術者の方々が熱心に取り組まれるという傾向です。
もちろんすべての方がそうと言う訳ではありませんが、営業経験の長い方は、景気がよかった時代・お客様の囲い込みが可能であった時代を経験されているため、その時の営業スタイルでの成功体験が忘れられず、自身の営業スタイルとして確立されてしまっているからだと思います。
したがって、「市場が変化した」、「新規開拓が必要」、「経営者層へのアプローチが重要」、「そのために財務が不可欠」と研修を行っても、以前と同じ営業スタイル・思考が中心となっているため、意識的にギャップがあるのだと思います。
逆に、営業経験の浅い営業担当者や営業経験の少ない技術者の方は、過去の成功体験も少なく、営業スタイルやお客様とのしがらみといった固定観念にとらわれることなく、現在の市場にマッチした対応・思考ができるため、研修への取り組みも熱心になるのではないかと思います。
ビジネスの場面に限らず、あらゆる場面において「変化」へ対応するための最大の障害は「既成概念・固定観念」ではないかと私は思っています。
前述の例で言えば、営業のスタイル、市場のお客様、過去の経験といった既成概念や固定観念が邪魔をして、新たな取り組みや方向の転換が必要な際に、フットワークが鈍くなったり、踏み出すタイミングが遅くなったりするのではないでしょうか?
さて弊社では「PROナビ」を導入して以来、全スタッフが日々の情報を登録し情報共有をしています。導入当初はおそらく義務的に日報を登録していたかと思いますが、入力にも慣れてきた頃から、自分の仕事を上司や同僚に知らしめるための内容、あるいはよい意味で自己PR色の強い内容へという風に、日報の内容も変化してきています。
・A君は実績数字を見るとあまり成果は上がっていないものの、
日常はいろいろな企業の経営者層に面会をして、数字には表れない行動をしている。
・B君は会議や打ち合わせでの発言が少なく、あまり積極性を感じなかったものの、日々の営業活動は積極的に行動している。
・C君とは意見や考え方の相違が多々あるが、
アウトプットとしての行動や作成された資料等は、意図の通じたものになっている。
これらはほんの一例ですが、今まで私が感じていた各スタッフの長所や欠点について、かなり勘違いがあることに気付かされています。実績数字での評価や会議での発言、過去の成功や失敗のイメージから私自身が固定観念にとらわれていたことが原因です。
その結果、スタッフの潜在能力を引き出すことができず、人材の有効活用が不十分であったことは否めません。
何事においても「既成概念・固定観念が最大の障害」と自覚していた自分自身が、それらにとらわれていたことをPROナビにより知ることができたのです。
アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙