情報共有が赤字プロジェクトを防止【アスクラボメールマガジン】
弊社は地域SIとして多くのお客様のシステム構築を手掛け、実績も上げてきました。しかしながら、そのシステム構築においてトラブルが生じることも多く、以前の弊社においては大きな課題の一つとなっていました。
現場の営業とSEが上司の了解を得て見積を作成し、システム構築を行っているにもかかわらず、トラブルが生じその対応に追われるといったことが多々発生していたのです。
私がこれを「大きな課題」ととらえていたのは、トラブルによって生じる損害が単純な数字(費用)の損害にとどまらず、トラブル終息のために様々なことが関連し、企業として被る損害・リスクが大きかったからです。
トラブルの迅速な対応・収拾には、いわゆる「仕事のできる」人材の投入が必要となります。すると、その人材が対応していた他の案件について機会的な損失が生じます。
また、トラブル対応は精神的にも消耗するため、投入した人材のモチベーションの低下も危惧されます。加えて、トラブルの原因・責任追及において営業とSEが対立し不仲となるなど、多くの経営的リスクを含んでいたのです。このような理由から、「システム構築におけるトラブルの撲滅」は、弊社の優先課題として取り組むべきこと私は考えていました。
そのような状況の中で、弊社が開発した営業力強化システム「PROナビ」の社内利用を始めましたが、PROナビにより情報が共有されるようになると、比例してシステム構築におけるトラブルが減少したのです。これは当初想定していなかったことでした。
PROナビによる情報共有を行う以前の弊社では、営業は一つの案件を受注すると新たな案件の対応にシフトしていたため、受注済みとなった案件は結果的に「SE任せ」となっていました。そのため、トラブルの芽が発生しても、先ず担当SEが「自分の力で何とかしよう」と努力し、その努力が限界を超えたときに社内に「トラブル」として認知されるというような状態でした。
さらに状況が悪いときは、社内でトラブルがトラブルとして報告されるのではなく、お客様の上層部から私宛に(あるいは担当者の上長宛に)直接電話が入って社内で認知されるというようなこともありました。
トラブルの芽の段階であれば、防止のための事前対応も可能です。またトラブルも初期の段階であれば、大きな労力をかけなくても相応の対応が可能です。しかしながら、前触れもなくトラブルがトラブルとして露見すると、「大変だ!」ということで「仕事のできる人材」を投入し、大きな損失を出しながら対応せざるを得なくなります。
以前の弊社ではこの繰り返しだったため、当時の社内は疲弊して人間関係もギクシャクし、社内全体のモチベーションも非常に低下していました。
しかし、PROナビの利用によって情報共有がなされると、個々の案件が多くの社員の目に触れるようになり、営業の日常の訪問活動情報に対してSEからアドバイスが入ったり、SEの対応状況ややお客様との意見・考えの相違なども営業がつかむようになったり、
相互が相互に状況を認識するようになりました。その結果、受注が決まった後の「SE任せ」がなくなり、危機回避・リスク軽減のための案件に対する意見が寄せられるようになり、トラブルも初期段階で対応ができるようになりました。
上層部も出席する会議の場で、一般のスタッフが何かしらの意見を発言することは非常に勇気が必要となりますが、弊社のようにIT(PROナビ)を利用することは、情報共有という目的が明確で、かつ、上司・先輩の顔を見なくても意見を述べることができるため、
ITの良いところであると私は思っています。
情報が共有・整理されていない案件は、「トラブル発生の可能性がある案件」としてSEも経営者層も受注に対して注意を払うという共通認識がとれています。つまり、受注判定会議が日常的に行われているような環境が構築できたと感じています。
アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙