「感じる力」を退化させない組織作り【アスクラボメールマガジン2016年11月9日号】
「感じる力」については、これまでもメールマガジンでたびたび取り上げてきましたが、弊社の企業ビジョン・ミッションにもつながる重要なポイントと考えているため、あらためて取り上げます。
弊社は大手企業を中心に「営業研修」を行っているため、多くの受講生の方々に接しますが、最近の傾向として気になることがあります。それは、受講生の方々の「考える力」は非常に長けているものの、「感じる力」が弱くなっているということです。
「感じる力」とは事象や物事の変化に対し「何か変だな?」、「何かおかしいな?」と感じる力(直感)であり、相手の態度や表情から意志や意図、ニーズを汲み取って感じる力です。
「感じる力」に対して「考える力」が中心になると、事象や物事の変化、相手の意志や意図、ニーズは後回しになり、いかに自分が不利益を被らないようにするかなど、自己中心の守り(保身)の対応になっていきます。その結果、会社が決めたルールやマニュアル通りに行動することはできても、新たなアイデアや新たな提案、新たなビジネスモデルに変化する対応力、あるいはトラブルの前兆をつかんで被害を最小限にとどめる行動などへの対応力は衰えていく可能性があります。
潜在的には誰もが「感じる力」を持っていると思います。しかし、なぜその感覚が発揮されず機能しなくなっているのでしょうか?その原因の一端として、企業風土が影響していると私は思います。ある大手企業の部長がこんな話をされていました。稟議書とは、本来は現場から業務上の必要なものを購入するにあたって上がってくるものであって、その内容について目的、効果、費用など考慮して可否の判断をするが、途中から本来の目的を離れて、関係者が「いかに稟議を通すか」という手段を考えはじめる。自分としてはそんな状況に違和感があり「これでよいのか?」と迷いがあるが、家のローンがあることなど考えると組織の中では流れに沿っていくしかない。そんな自分が嫌になる。また別の大手企業の管理者の方の話です。会社の中に、なんとなく全体の流れや定まった雰囲気があり、それに異を唱えると自社の「村社会」から孤立する心配もある。そんな状況なので疑問を感じても声を上げられない。
このような企業風土と、その企業風土に流されてしまう管理者の言動が、一般のスタッフに影響を及ぼし「感じる力」を退化させているのだと思います。仕事柄、多くの企業経営者層の方々とお会いしますが、企業としての悩みや組織営業力強化についてうかがう中で、大半の経営者が「会社の風土を変えたい」と言われます。つまりは、「感じる力」を衰退させない組織作りが望まれているのです。
弊社の企業ビジョンとミッションには、「人と組織の潜在能力を育てる仕組み作りで、日本の企業を強くする」を掲げています。弊社スタッフの「感じる力」が退化すると弊社の将来はありません。そのため、「感じる力」を退化させない・向上させるための対策としてPROナビ(※)を活用しています。PROナビに商談日報を登録する際には、スタッフ個々が可能な限り自身の所感を入れるようにしています。また、PROナビのバージョンアップや新商品開発に対する意見などは、役職や経験に関係なくPROナビに登録された意見それぞれを「一つの意見」とし集計します。但し、最終的な判断は多数決ではなく、集計された意見のデータを参考に組織として判断します。
自身の意見や所感を表現するその過程で、スタッフの「感じる力」を向上させたいと思っています。
※PROナビ:弊社開発の組織営業力強化システム
アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙