知恵の結集のマネジメント【アスクラボメールマガジン2018年5月】

弊社の商品である組織営業力強化システム「PROナビ」のコンセプトの一つに、「商談メンバーの知恵の結集」を標ぼうしていますが、実際には「言うは易く行うは難し」の言葉どおり、その実現には非常に難しいマネジメントが要求されます。

知恵を発揮させるには、スタッフの経験やノウハウを提示・提供してもらう必要がありますが、当然ながらスタッフそれぞれに経験、性格、価値観、育った環境や立場等々の違いにより、管理者・経営者とは判断や考え、実行する手段等にも違いが出ます。しかし、それを乗り越えて初めて知恵の結集が実現できると思っています。

SIビジネスを主力としてきた運営してきた弊社が、PROナビを開発してパッケージメーカへの転換を図ったときも、当然ながら難しいマネジメントが必要でした。当時ほとんどのスタッフは、弊社のような地方都市の小さな会社がパッケージソフトを開発しても「成功するわけがない・売れるわけがない」と感じている様でした。
また、私がプロジェクトについて説明をしても、表面上はうなずきながらも内心では「うかつに社長の話に乗ってはいけない。プロジェクトが失敗したら自分の立場がなくなる!」と思っている様子が感じ取れました。そのような状況ではスタッフの協力はおろか知恵の結集は望めません。知恵の結集が なければ成功はおぼつかなく、弊社の未来に危険信号がともると感じました。そこで私は、知恵の結集のために何をすべきかを考えました。そして、まず私自身が自ら営業に行って、「販売できる・売れる」という可能性をスタッフに対して感じさせなければ、弊社の知恵の結集はできないという結論に至りました。それからは毎月3~4度は東京に出張し、営業活動に注力する日々を続けました。そんな私を見たスタッフの一人が「社長を手伝う」と手を挙げ、協力・バック援護を始めてくれました。新プロジェクトに前向きではなかったスタッフ面々でしたが、手を挙げた彼は、一人営業活動を行う私を見て「気の毒だから」と行動してくれたようでした。

指示・命令では、表面上はうなずいていていたとしてもスタッフの真剣さが感じられなかったでしょう。指示・命令ではなく、「気の毒だから」ということにある意味共感が生まれ、社内の共通認識となり、それがきっかけとなって社内全体の協力、つまり知恵の結集が始まったのです。ビジネス組織における一般的なマネジメントでは、知恵の結集は表面上の掛け声だけで終わり、中身を伴う内容にはできなかったと思っています。

私がビジネスの世界に入る以前の想像では、経営者や管理者が指示をすれば組織は動くものだと思っていました。確かに指示や命令をすれば表面上は指示に従いますが、それは真剣で実のある行動とはかけ離れたものでした。しかし、その経験が私を精神的に強くし、リーダとしての孤独感も人生の刺激として感じられるように育ててくれたと思っています。
まだまだパッケージメーカとして安定した収益を得るところまでには至っておらず、変化の激しい現代においては、以前にまして「知恵の結集」が求められます。これからもより難関のマネジメントに挑戦するつもりです。

組織連携のためには社内における情報の共有・共通の認識は不可欠です。しかしながら口頭の説明ではそれは容易ではありません。「PROナビ」は情報の共有のみならず、社内の共通認識を促す仕組みでもあります。

「PROナビ」について https://asclab.com/service/pronavi/

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙