弱み・苦手の克服【アスクラボメールマガジン2018年11月号】

私は学生時代から文章作成が苦手で、作文関係の成績は常に赤点すれすれでした。そんな私ですが、これまでに日経BP社さんより3冊の本を出版させて頂きました。本を書いたきっかけは、日経BP社さんと連携した組織営業力強化のための全国セミナー(北海道、仙台、東京、大阪、広島、福岡で開催)を開催した際、そのセミナーをご担当頂いた日経BP社のスタッフの方に「本を作成しませんか」と依頼されたからです。作文が苦手な私でしたが「本を書けば自社のPRになる」と思い、簡単に引き受けたのです。
しかしながら、本来苦手な文章がスラスラと出てくるわけがなく、机についても何も書けない状態が続きました。迫ってくる締め切りの大きなプレッシャーと、締め切りまでに書かなければならないという責任感で頭の中はいっぱいになり、日々悩まされました。そんな時、頭の中がある変化を起こしました。新聞を読んでも、テレビを見ても、街へ出ても、人と話をしても、常に「ネタ探し」をするようになったのです。以前であれば聞き流していたことや、目にしても気に留めることなく頭から通り過ぎていたことを情報としてキャッチできるようになり、その情報を机に向かって吐き出すようにして、何とか1冊目の本を書くことができました(もちろん、文章化にあたっては社内スタッフに支援をしてもらいました)。

本来苦手であることに取り組んで得た「気づき」は、私のビジネスにとって大きな影響を与えました。その「気づき」は、現在弊社が行うトップアプローチ研修のSE向けコース(※)にも、弱み・苦手を克服するためのコンテンツの一部として流用しています。※トップアプローチ研修は、主に営業系スタッフを対象とした研修で、決裁権を持つ経営陣にアプローチを行うための研修内容です。そのトップアプローチ研修について、真面目に決定したことはきっちり実行できるSE等技術系スタッフのための、会話力・提案力養成コースも、お客様からの要望により実施しています。

さて、今でこそ研修やセミナーの講師を数多くさせて頂いている私ですが、以前は人前で話すことが苦手でした。弊社主催のセミナーで初めて講師をしたときは、人前に立っただけで胸がつかえてしまい、事前に考えていたことの大半は頭から消え、本当に恥ずかしい思いをしました。そんな思いをした後、私はテレビで誰かが話すのを聞いても、祝い事の席でスピーチを聞いていても、「話が上手い」と感じた人がいれば注視するようになりました。
その結果、話が上手い方は「話が上手い」のではなく、話していることを自分の経験として持っているということに気付きました。経験は事実です。事実を話すことはより普段通りに近い形で話せるということが理解できたのです。また、自分をよく見せようとすると失敗することにも気づきました。自分をよく見せようということは、事実ではない自分を見せようとしているにすぎません。経験のないことを話し、自分をよりよく見せようとすればするほど、
緊張してあがってしまうのです。

以前、岡山大学で学生に向けてアントレプレナーの話をさせて頂いたことがあります。そのイベントの最後に、同席されていた教授が参加された学生に対して次のようなことを言われました。「先程、川嶋さんは皆さんの前で話しをされたが、人前で話ができないとアントレプレナーになれないのではなく、ご自身が実際にアントレプレナーとして経験されたから人前で話ができるようになられたのです」まさに、私が感じていたことでした。

苦手なことや弱点の克服のためには、まず苦手意識を頭に入れます。次に上手くなりたいという思いを持ちます。次に、上手い人などの情報を集めて参考にします。そして最後に、自分でトライすることが必要なのです。

■PROナビ
弊社開発のPROナビ(組織営業力強化システム)も、開発の目的は管理業務ではなく、お互いの情報を集めて、お互いの長所を伸ばし、お互いの弱点を少しでも克服するための人材育成を目的にしています。
「PROナビ」について https://asclab.com/service/pronavi/

                     アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙