成長を図る物差しと風土の変更【アスクラボメールマガジン2020年12月号】

趣味でスキーやテニスなどのスポーツを始めた際、最初の頃は少しずつでも日々上手くなっていると感じることができますが、ある程度のレベルになると、上手くなっているのかどうかが自分ではわからないという経験が度々ありました。
仕事においても同じです。年々キャリアを積んでいく時々で、自分自身が成長・向上しているのか、現状維持なのか、あるいは後退しているのかがつかめないということを度々経験しました。

そんな時、私の場合は過去の手帳が成長を測る「物差し」となりました。ビジネスの世界に入って以来、毎年新しい手帳を準備し、スケジュールはもちろん日々の出来事や気になったことなど、いろいろなことを手帳に書き残すようにしています。
過去の手帳を開いて現在の行動や判断、面会している相手などと照らし合わせて見ることで、自分が成長しているのかどうかを自分なりに測り、ある程度の判断をすることができました。しかし、手帳では私自身・個人レベルの成長を測ることしかできません。責任者の立場では、当然ながら企業力の成長を測る方法がないかと常に考え・悩んでいました。

以前の弊社は、受注や売上、利益といういわば「数字」という物差しで企業の成長具合を想定し、スタッフ個々についても数字の物差しに基づいて評価をしていました。しかし、その影響で、スタッフが既存の顧客や収入源、現状のスキルや技術、経験に頼りすぎ、企業として新しいことに挑戦しない風土が構築されてしまい、私自身も非常に危機感を持ちました。
その危機感が「PROナビ」の開発に至る原動力となったかもしれません。

自社開発の組織連携・情報共有の仕組みであるPROナビを社内で運用し、営業・技術・管理部門の全スタッフが日報を毎日登録することで、数字以外の情報が共有・蓄積されるようになりました。その結果、共有・蓄積された情報をもとに、過去と現在を比較することが可能となったため、スタッフ個々の成長を測ることができるようになったのです。
営業スタッフの行動や判断、提案内容、技術スタッフのスキルや経験、相手の立場を理解・考慮した管理や対応、部署間での協力関係など、企業として成長しているか否かを、PROナビを通して測ることができるようになりました。

PROナビの開発思想は、一般的なSFAと違い、数字以外に個人の成長具合を評価し人材の育成・企業力の向上を目指したものです。数字を物差しとした場合、できていないことや不足していることの管理が中心になりやすく、言い換えれば欠点探しになりがちです。
数字ではない物差しによって成長を測ることで、経営者層のみでなく多くのスタッフが注視するようになり、欠点探しから長所探しが会社全体の意識となり、結果としてさらなる情報登録(日報入力)が促進されたと思います。

以前のような既存の顧客や収入源、既存のスキルや技術に頼りすぎた風土を改めるため、PROナビの運用とともに「既存収入へ6割、新規収入源の準備へ4割」というリソース配分を会社の方針としてきましたが、「成長を測る物差し」で見るとその意図の理解も進んできたと感じています。

※PROナビ
弊社開発のPROナビ(組織営業力強化システム)は、業務の管理が目的ではなく、お互いの情報を集めて、お互いの長所を伸ばし、お互いの弱点を少しでも克服するための人材育成を目的にしています。

「PROナビ」について

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙