感覚と論理的裏付け【アスクラボメールマガジン2022年3月号】

ビジネスの世界に入ったころ、社長であった父から「お前は根性がない」と注意を受けましたが、ビジネスに携わるのが短期間で済むなら根性も継続できるが、これから先の長いビジネス生活を考えたら根性で継続するのはとても無理と返したことがあります。
また、取引先の先輩などから「俺についてくれば悪いようにはしない」と言われ、悪いようにはしないとは具体的にどのようなことかを聞き返したこともあります。
どちらからもひんしゅくを買った思い出ですが、「根性」や「悪いようにはしない」といった感覚的な注意やアドバイスではなく、具体的なことを教えてほしかったのが本音です。
現在でも、根性論は減ったかもしれませんがスタッフに対する管理者の感覚的な注意やアドバイス(例えば「もっと積極的な行動をするように」等)はよく目にします。

■組織で共有・理解が説得につながる
私のプライベートな個人的生活では、人に迷惑をかけない範囲で、「感覚」で行動したいと思っています。しかしビジネスにおける管理マネジメントの場面では、組織・チームとしての行動となるため、携わる相手が理解しやすいように、「感覚」を裏付ける「理論」が必要であると思っています。
会社組織で目的を達成するため・交渉で相手の理解や共感を得るためには「感覚」だけの対応では限界があります。
「感覚」を裏付ける「理論」、そして「データ」が必要であり、それらが伴って相手への説得につながると思っています。

■受注確度を測る
弊社の営業活動の中で、受注できた案件・失注した案件をもとにそれぞれの共通項を洗い出した結果、「人は興味のあることにはリソースを使う」という理論にたどり着きました。そこから弊社サービスの一つであるユーザエネルギー測定ツール(特許取得済)を開発しました。
ユーザエネルギー測定ツールは、お客様のプロジェクト・提案・商談に対する本気度を、感覚ではなく数値化し、データとしてとらえることができる仕組みです。

■感覚に頼らないリスク察知
役職上、日々スタッフから様々な報告を受けます。そんな数々の報告の中には、問題はなさそうなのに、なんとなくしっくりこない・根拠はないが不安を感じるというものもあります。
なぜしっくりこないのか?なぜ不安なのか?を考えてみたところ、全く問題がなく計画通りの報告の場合とは、使う表現や文脈に違いがあることに気がつきました。
そこから、あいまいに表現された「リスク」を数値化するAIリスク診断エンジン(特許出願済)の開発につながりました。
感覚、あるいは感覚でもとらえきれないリスクの芽を、数値化してデータとしてとらえることができる仕組みです。

「感覚」だけに頼った対応では、お客様はもちろん、スタッフの理解や共感を得ることが難しく、スタッフの育成やノウハウの引き継ぎも困難です。
ビジネスにおいては携わる相手が理解できるように、感覚を裏付ける理論とデータが重要であると思います。

アスクラボ株式会社 CEO 川嶋 謙